俺がそんな事を考えていると、ヤマト兄が手をパンパンと叩いた。
「ほら、静かに!」
ヤマト兄の言葉で、ざわめきが一気に冷めた。
「じゃあ、遠山は窓際の一番後ろの席な。」
「はい。」
俺はヤマト兄に言われた通り、俺の席だと思われる窓際の一番後ろの席へと歩きだした。
俺が学生達の席の間を通っていくと、学生達は「よろしく~」などと声をかけてくれた。
なんだか嬉しくなって、俺は自然と「よろしく」と言い返した。
そして、俺の席にたどり着く瞬間。
ちょうど窓際の俺の前の席の学生と目が合った。
その学生は亜麻色の髪に綺麗な瞳、鼻筋も美しい…。
まさにこれこそが美形と言わんばかりの男子生徒。
なぜか俺は一瞬だけだけどその男子生徒に見とれてしまい足を止めた。
すると、男子生徒が俺にニコッと笑い、優しい笑顔を見せてきた。
その瞬間、俺はハッと我に変える。
うわっ!俺としたことが、男にみとれてしまったなんて、どうかしてるかも…。
な、なんて恥ずかしい!
俺は急ぐように自分の席へ向かうと、すれ違い様に美形な男子生徒は俺に『よろしくね』と声をかけてきた。
男子生徒に見とれていたことに少し混乱しながらも俺は『よろしくお願いします』と返事をして、自分の席のイスをサッと引いて座った。