「子供じゃないんだから、大丈夫だよ!」


「ははは。なんだ。俺にとって今も遥は子供だけどな。」


「ちょっ!子供って…。」


俺がそう声を張り上げようとしたその瞬間にヤマト兄は教室の戸をガラリと開いた。


「おーい。みんな席につけー。お前らが楽しみにしてた編入生連れてきたから紹介するぞー。」

ヤマト兄がそう言うと教室の中から一斉にイスを引く音が聞こえてきた。

恐らく席を離れてた生徒たちが俺という編入生の紹介につられ席についたのだろう。


「ほら、遥。中へ。」


ヤマト兄に小声でそう囁かれ、俺は教室の中へと入る。

そして、ヤマト兄の後をついてやがて自然と黒板の前に立った。

この時、俺の目の前に30人ほどの生徒たちがいた。

俺は一気に注目をあびて、緊張するどころじゃないくらい胸をバクバクさせて半分パニック状態となった。


「えー、みんな。編入生の遠山遥君だ。」

そんな中、ヤマト兄が俺の紹介を始めた。


「遥は、アメリカの高校からの編入生だ。まだ日本の生活にも慣れていないと思うから。みんな、いろいろと良くしてやってくれよ!ちなみに遥は俺の昔住んでた家のご近所さんだったんだぜ。」

ヤマト兄が俺の紹介をしてると、学生たちがガヤガヤと話し出す。


「じゃあ遥、みんなに一言。」

ヤマト兄がそう言うと、少しざわついた教室が一気に静まる。


「あ、はい。えっと…遠山遥です。よろしくお願いします。」


俺は高鳴る鼓動を抑え、ぎこちないがはっきりした声であいさつし、深くお辞儀をする。

俺が頭をあげると、またしても教室がざわめき始めた。

…またみんなヒソヒソ話しだした。

ああ。こういうとき、ほんと何言われてるのか気になるよなぁ。