それからヤマト兄の話通り、15分もかからないうちに学校に到着した。
北洋高校は想像していたよりも大きくて白色がモチーフ且つ鮮明なイメージの学校だった。
俺はヤマト兄に連れられてまずは理事長室へ向かった。
その目的は俺を編入させてくれた理事長さんにお礼を言うため。
トントン。
「失礼します。」
理事長室に入ると、そこには理事長と思われるメガネをかけた背の高い男性が俺を待ってたの如く机についていた。
「おはようございます。理事長。編入生の遠山遥君をお連れしました。」
「やぁ、早瀬先生。おはよう。」
へぇ。理事長っていうから怖いおじさんを想像してたけど、まだ若いし気さくそうな人だなぁ。
「あ、君が遠山君?初めまして。僕は藤岡慎太郎。北洋高校の理事長だよ。」
理事長にそう言われ、俺はとっさに頭を下げた。
「えっと、遠山遥です。あの、この度は編入を認めて頂き、さらに蘭藤荘にも入れて頂いて…」
「いぃっていぃって!」
しどろもどろになりながらもお礼を言おうとした俺の言葉を遮って、理事長は豪快に笑った。
「早瀬先生から君の夢を聞いた時にね、是非うちの高校で学んで欲しいと思ってね。夢が
叶うよう、僕も出来る限りの協力をしよう。頑張ってね。」
そう言って理事長が差し出した手を、僕は両手で握り返した。
…俺の夢。
それは海外で日本語教師になること。
その話は長くなるから話すのはもう少し後にしよう。
「よろしくお願いします!!」
勢いよく俺が理事長に頭を下げた瞬間-
『トントン』と軽くノック音がして、扉が開く。
「失礼致します。理事長、そろそろお時間です。」
一礼して部屋に入ってきたのは黒のスーツに身を纏った若い女性だった。
「分かった」と理事長が頷く。

