「さっき部屋の中ちらっと見えたけど、全然片付けれてなかったな。」


ヤマト兄が苦笑いする。俺は昨日の夜にこの寮に入った。

荷物はある程度業者に頼んであったので身一つで入寮出来たのはよかったのだが…

部屋に山積みされたダンボールを前に片付ける気力が起きるはずもなく。


「うん。昨日はヤマト兄と一通り寮見た後すぐ寝ちゃったんだ。」


昨日チラリと見て回っただけだが、さすが理事長お墨付きの特別寮だからなのか、寮の作りがおしゃれで少し豪華な気がした。

部屋数は少ないけど、共同リビングや大きな入浴場もある。

一つ一つの部屋も大きく綺麗だし、まるでホテルに住んでいるような気分だ。


「まぁ、昨日着いたのも遅かったしな。今日帰ったら俺も片付け手伝うよ。」


「うん、ありがとう。あっ、でも先生であるヤマト兄に部屋の片付けなんて手伝わせたら寮の人たちに変に思われちゃうかな…」


俺はまだ寮の住人に誰一人として出会ってない。同じ空間に居るんだし、正直誰か一人くらいとは会うかなぁとは思ってたんだけど。…まぁ、きっとすぐに会えるよね。


「大丈夫だって。そんな事気にする奴らじゃないし。」


ヤマト兄はそう言いながら俺の頭をポンポンと叩いた。


「また改めてみんなを紹介するよ。」


ヤマト兄は俺のでこを軽くつっつくと、俺に背を向けた。


「あ、待ってよ!ヤマト兄っ!」


俺はヤマト兄の背中を追った。