時は流れて、あたしがあたしだけのオリジナルを探してもう半年が過ぎようとしている。あいつと出逢ったあの夜の街に出掛けても、あいつには会えなかった。あいつは約束を破るような奴じゃないし、何よりもあたしはまだ、腐れプッシーのままだ。

 こんな有様なのにあいつに会いたくなんかない。いや、会いたくないなんて嘘だけど、会ってもあいつはあたしに気付きもしないだろう。

 ただ居場所のない家よりも、この夜の街の方があたしには過ごし易い。何人か知り合いもいるし、そいつらと話していると少しだけ落ち着くから。
 でも、ひとりになると寂しくて涙が出そうになった。あたしだって好きでひとりでいるワケじゃない。でも、この孤独はあたし自身が選んだものだ。

 ウリを止めて友達と決別し、バッドメディスンに侵された友達は施設に放り込んだ。それからは友達と呼べる存在を作らなかった。友達を作ってもあたしはきっと、何かがあれば自分を正当化して切り捨てるだろう。そんな苦しみを味わうくらいならば、あたしはひとりのままでいい。

 夜の街の公園のブランコに座り、ゆっくりと揺らす。その揺れはあたしの心音よりもゆっくりと流れていて、少しだけ安心した。

 押し寄せてくる寂しさ。あたしはオリジナルを探しているつもりで、間違った方向に進んでいるんじゃないのかと思い、俯いて唇を噛んだ。

 あたたかさが欲しい。何も考えずに、ただゆっくりと眠りたい。オリジナルを探求する日々に不満なんてないけど、時折押し寄せてくるこの寂しさを紛らわす方法を、あたしは知らない。

 気付いた時、頬を涙が伝っていた。懐からあの家族写真を取り出して、じっと見詰める。最近、寂しくなるとこの写真を見ていた。何の慰めにもならないけど、あたしに残されたあたたかさはそれしかなかった。

 思わず小さく呻く。それは嗚咽に変わり、あたしはそのまま泣き崩れた。

 あいつに会いたかった。会って抱き締めて欲しかった。あたしはまだ腐れプッシーのままだし、会っても相手にされないことは分かっている。だけど、会えるあてのない毎日を過ごすのは辛すぎた。