安心したあたしは、のどがいっきに渇き、冷蔵庫に入ってる麦茶を取り出した。
「あのさ、」
お茶をつぐあたしの背に、雄大の声が響く。
「2万がお前の家賃って話、なしにしてもいい?」
「はっ!?」
あたしは驚いて、変な声が出た。
後ろを振り返えれば、こちらを見る雄大と目があった。
ドキン…
いや、ドキンじゃなくて。
真っ直ぐとあたしを見るその眼差しに、少し後ずさりしたくなる。
「もともと、お前に言ってた2万って…あいつへの借金みたいなもんなんだ…」
あいつ。
そういった雄大の表情を見て、すぐに誰のことかが分かった。
彼女のことだと。
「あの、」
「とりあえず、座りなよ」
あたしを促すように、雄大の隣を指し示す。
少し躊躇しながらも、ソファに座り込み、横にいる雄大を見る。
「俺とあいつ、高校の時に付き合ってたんだ
俺が高1で、あいつが高2の時
最初はあいつからアプローチされて、自然な流れで付き合い始めた。
それがそもそもの始まり…」
昔を思い出すようひどく悲しそうに笑う雄大。
あたしは大丈夫だよ、って手を握った。

