「先輩、あたしすぐに行かなきゃいけな い。」
「え、行くってどこに?」
今は、 早く雄大のところに戻りたい。
じゃない と、雄大があの人のところに行っちゃう 。
まだあの家で二人で話してるとは限ら ないけど。
なんでだろう。
今行かなきゃ いけない気がした。
あたしは先輩の問い かけには答えず、走り出した。
真っ直ぐ と、雄大のいる家へ。
――バタンッ
「雄 大!?」
明かりがつけられたリビングの扉 を勢いよくあける。
目の前にはテレビを 見ながらくつろいでいる姿の雄大。
辺り を見回しても、彼女の姿はない。
「あれ 、一人なの?」
ぜぇぜぇと息をはきなが ら、雄大に問いかける。
「そうだけど、 なんで?」
いつもと変わらない雄大がい る。
あたしはホッと胸を撫で下ろし、落 ちてくる汗をぬぐった。

