「月2万で俺ん家に住まわしてやろうか?」
さっきまでとはうって変わって、なんとも男らしく言われた。
しかも、このアングル。
あたしの目の前へと座り込み、上目遣いで妖艶の笑み。
ドキッとした。
「あ、の…」
「さらには、ガス、電気、水道使い放題。
そんでもって、2LDK の一部屋を松島さんが使ってもいいよ?」
「…え、」
そんな好条件いいの??
てか、あたしとあなたは今日初めて会ったのに、なんでそこまでしてくれるの?
あたしにとってはとてもとても都合がいいんだけど。
彼…花木くんにとって、なんのメリットがあるの
「本当にいいの?」
「困ったときは、お互い様だよ」
なんて!ニコニコと可愛らしい笑顔を振りまきながら、あたしに右でを差し出す。
キューーン!!!
あ、やられた。
あたしは右手を恐る恐る彼の手に合わせた。
「よろしくお願いします。」
「うん。契約成立!!」
ギュッ、と固く結ばれた握手。
その瞬間、よくわからないけど悪寒がした。
それは彼の手が冷たいせいか。
「あ、一個条件があるんだ」
「なに?」
「松島さん、俺の彼女になれ。」
はたまた彼の冷ややかな笑みのせいか。
あたしは、ただ凍りついてしまった。

