静かな公園に小さく響いたその音。
「…なんで……?」
ビックリして目をパチパチさせた。
呟いた彼女の方が驚いてるように、後ずさりを始める。
まさか、来るなんて。
思いもしなかった。
あたしに背を向けているから表情なんてわからない。
きっと怒ってるはずなのに。
ねぇ、なんで来たのよ?
「雄大…?」
あたしが勝手に怒って、コンビニに行くと飛び出したのに。
少しかたで息をしてるってことは、走ってきてくれたのに?
あたしわ彼女じゃないんだよ?
本当の彼女じゃないのに。
「てめぇ!!香織になにしてんだよ!?」
痛そうに頬をさすりながら、静かに言い放つ。
彼女の表情は怯えている。
きっとすごく怒ってるからだと思う。
キュッ、と心臓がなる。
「ごめ、なさい…」
「謝ってすむ問題じゃねぇんだよ!?」
「あたしは、ただ悔しくて…」
泣きながら走っていく彼女は、なんて哀れなんだろうか。
雄大が好きすぎて、だけどあたしがいて。
そんな悲しみを、あたしに浴びせたってなんも意味がないのに。

