ルームシェア



連れてかれた場所は、近くの公園。


ピリピリとした雰囲気が流れる。


「あの、どんなご用で」


あたしは一刻も早くこの場を去りたくて、なるべく穏やかに話すことを決めた。


「あんた、雄大の彼女でしょ?」

「え、と…一応。」


ふ~ん、と上から下へと品定めをされるように見られる。

その目は終始睨んでいる。

隙をついて逃げるなんてできない感じ。


あたし!足遅いし。


「本当に彼女なの?

 紗弥加とは全然違う感じだからな~」


紗弥加?

こないだもその人の名前出てきてた。


「たから、なんですか?」

「嘘なんじゃないの?あんたたちが付き合ってるって」


ドキッ。

あたしはいっさい表情をかえないように、真っ直ぐに彼女を見た。

よく分からないけど、あたしたちが嘘をついてることをバレたらいけないことは分かる。


キュッ、と拳を握りながら、声をはっする。


「好みは人それぞれだし、雄大からあたしに言ってきたんです。嘘なんてついてません」


眉をピクリと動かすと、バカにするように薄笑いを浮かべる。


「でも、どうせなんも知らないんでしょ、あんた?」