“花木くんって言えばさ、年上の人とつ きあってるって噂あったからね”
なんて言葉よぎる。
もしかして、あの人が?
いまだに関係があったの?
じゃあ、あたしってなんだ?
考えるとクエスチョンマークが増える。
「チッ、またお前かよ。」
雄大の声が頭から聞こえた。
気づいたら、あたしは雄大の胸の中。
はっ!?
この状況はどうゆうこと?
「ちょっ、雄大!?」
「騒ぐなよ。お前標的にされんぞ?」
それは、どういう意味?
「悪いけど綾子、俺、今こいつと付き合ってるから
紗弥加のとこになら行っても無駄だから。」
「あ、あたしはそんなの信じない!!」
猫を被らないで話す雄大を観るのは珍しいことじゃない。
なのに、今の雄大はいつもと違って見えた。
なにかを守るように、構えてるみたい。
あたしはその場で、ただ黙って二人のやり取りを聞いてるしかない。
「紗弥加と別れたなんて聞いてないし、そんな女のことなんて好きじゃないくせに」
「俺は、紗弥加のことも別に好きじゃなかったし。付き合ってもないから、別れるなんてありえないだろ?」
「なら、なんであたしを見てくれないのよ!!あたしはこんなにあなたのことが好きなのにー」
泣きわめくその声に、なんだか恐怖を感じた。
もしかして、ストーカー?
雄大の顔なら、一人くらいいても不思議はない。
どうせ、猫かぶってその気にさせたに違いない。
なんて、話も聞いてないのに勝手に納得する。

