「…おいしい」
素直に出た感想。
そんじょそこらのファミレスなんかよりも美味しいレベル。
「当たり前だろうが」
フン、と鼻を鳴らし、雄大も席につき、ふたりで朝食をとりはじめた。
なんだか慣れないな。
なんだかんだで、この生活も三日目に入る。
昨日一昨日は土日で学校もなかったから、二人で少しは会話をした。
ご飯は適当にすませてたから、雄大がこんな風に料理をするなんて。
「お前さ、目覚ましかけるの止めて。俺、あの音嫌い」
ウィンナーをパクリとかぶりつきながら、あたしに目で訴える。
雄大がやるなと言うことはしない。
それが、暗黙の了解。
「でも、起きれるか心配」
「最悪、俺が起こしてあげるよ」
なんて優しい言葉。
頼みます。と契約成立。
ご飯を食べ終わり、食器洗いくらいは、と思ったけど、雄大が女は支度が遅いから、とやらせてくれなかった。
なんだか調子が狂う。
言葉は乱暴なくせに、料理を作ってくれたり、洗いものはしてくれたり、なんなんだろうか。
あたしは、まだ、そこまで彼のことを知らない。
だから、謎多き男、花木雄大のことが少しだけきになる。
あ、恋愛感情とかではないけど。