比呂の家に着き、玄関にあたしは腕を引かれて入る。
「・・・おじゃまします」
比呂はあたしの手を握り、そのまま比呂の部屋へ連れていく。
何も言わずにあたしの目を見つめる。
「・・・比呂、どうし」
あたしの言葉は遮られ、比呂との激しいキスになる。
今までこんなキスなかったってくらい。
激しくて、何だか冷たい。
そのままベッドに押し倒される。
「・・・比呂待ってっ・・・」
服を脱がそうとする腕を握って止める。
「やだ、比呂…!」
怖い・・・怖いよ比呂・・・。
あたしが抵抗したって、比呂にはかなわない。
「・・・じっとしてろよ」
低くて、小さな声。
何だか涙が出てきて、溢れた。
それからあたしは抵抗することもなく、比呂に抱かれたんだ。
「・・・ぁ・・・っ・・・はぁ・・・」
目を閉じて、比呂を感じながら、
頭の中に思い浮かぶのはなぜか、拓実の顔。

