めちゃくちゃ緊張してたけど、平然を装った。

「来てくれてありがとな」

「・・・ううん」

比呂はため息をついて、話し始める。

「・・・昨日殴ったりして、ほんとにごめんな・・・」

「もう、いいよ・・・」

「昨日一緒にいた雪奈って子は、航平の連れなんだ」

航平くんは、比呂と同じバスケ部で、比呂と仲の良い友達。

「雪奈がどうしても俺に会いたいって航平に頼み込んだらしくて・・・仕方なく・・・」

「何で?彼女いるって航平くんも知ってるじゃん」

つい口調がきつくなる。

「雪奈は航平の弱み握ってるらしくて、航平に頼まれたんだ。・・・俺も、会うぐらいなら良いかなって」

会った理由は何となく理解できた。

あたしが気にしてるのは会ったことじゃない。

「別に、会うぐらい構わないよ?」

「・・・え?」

「じゃあ、その子に何で好きなんて言ったの?彼女がいることを隠すの?」

どうしても質問攻めみたいになっちゃうあたし。

「・・・ごめん。酔っててあんま覚えてない・・・」

そう言われれば、これ以上言えなくなるって分かってた。

でも明らかに・・・比呂は嘘をついてる。

比呂は、嘘をつくときじっと目を見て離さないんだ。

普段自然に目が合うのとは少し違うからすぐにわかる。