ファミまでの道のりを歩きながら考えたこと。

あたしは・・・比呂を信じてた。

比呂もきっとあたしを信じてたんだよね。

でも、好きだからこそ不安で、信じられなくなるんだ。

今のあたしに、比呂は必要?って考えたら。

・・・比呂がいなくても寂しいと感じないかもしれない。

でも、好きなんだ。

比呂は・・・あたしが必要?

ファミが見えたとき、あたしは亜理沙にメールを打った。

『ちゃんと、比呂と話してくるね』



どんな話をするんだろう。

どんな結果になるんだろう。

何だか心臓がバクバクしてて。

変に緊張してて。


ファミに入って、いつもあたし達が座る席を見る。

・・・比呂が、いた。

空いてたら絶対に座る奥の席。

今日は、空いてたんだね。

比呂がいる席まで歩く。

ヒールのコツ、コツって音に、比呂が反応する。

歩き方のリズムで、あたしだって分かるらしい。

「・・・美沙」

比呂は、あたしをじっと見つめて名前を呼んだ。

あたしは何も言わずにソファーに座る。