拓実は何も言わないあたしに、

少しだけ笑顔を作って、頭をポン、と撫でた。

「・・・落ち着いたらまた来るから」

そう言ってもう一度強く抱きしめて、

部屋を出て行った。

あたしはベッドから出て、

シャワーを浴びにお風呂へ。

「・・・」

ふと見た鏡に映る顔と身体。

目が腫れてて口元は切れてて。

お腹には青いあざがあった。

見苦しいな・・・。

顔はマスクとだてメガネで隠せるし、

身体は服を切れば分からない。

そんなことを考えてると、

比呂の顔がやっぱり浮かんで。

鏡に映った顔が少し滲んではっきり見えなくなった。

・・・怖かった・・・。

すごくすごく、怖かった。

比呂の怖い顔や、

怒鳴り声。

・・・比呂とちゃんと話さなきゃ・・・。