「伊織?どうかしたか?」 急に声をかけられ、ハッとする。 周りを見渡すとみんな下校準備をしていた。 隣を見上げると、友達の相模肇(さがみ はじめ)が俺を見ていた。 肇とは小学部からずっと一緒だ。 「なんだ、肇か。」 「なんだとはなんだよ。冷たいなぁ。」 「何か用か?」 俺は鞄を手にして立ち上がる。 そんな俺に肇は呆れたように溜め息をついた。