親父がそういって真琴に微笑んだ。
先を越されたか。
真琴の父親は俺の会社に役員として入ってもらうつもりだった。
「あ、ありがとうございます」
真琴は立ち上がって親父に頭を下げた。
父親が再就職出来てホッとしているようだ。
「綾川はもとからウチに引き抜くつもりだったんだ。優秀だからな。だから礼はいらないよ。」
親父はそう言って会合へ戻って行った。
真琴の父親を引き抜くつもりだったんならサッサとそういってくれればよかったのに。
優秀な人材を逃してガックリした。
まぁ、いいか。
真琴がホッとしているし。
「帰ろう。家に。」
真琴の手を取って立ち上がった。



