真琴が小さく呟く。


不安げな、でも思わず口から漏れたようなそんな声。

少し驚いたが俺は続けた


「春香のことは心に引っ掛かっていたけど…、真琴が隣で笑っていると嬉しかった。こんな結婚の仕方だったけど、初めの頃のような、ヤケクソな気持ちではなくなっていた。」



そう…。
真琴と居ることが自然となって、俺に向き合うとしてくれた真琴の気持ちが嬉しかった。



「だからあの日…お前の辛そうな顔を見て、俺も辛かった。」



そう告げると、真琴は戸惑ったように俺を見上げる。

本当だよ、辛かった。



「春香に言われた。いい加減に前に進めって。自分の気持ちをよく考えてみなさいって。」

「…考えたんだ?」

「あぁ…。」

「…それ…で?やっぱり…」

「やっぱり…」