海の匂いがする。 辺りは暗かったが、塩の香りが、真琴の住む街に来たのだと感じさせた。 真琴のアパートの近くまで来ると、車を止めてもらった。 「風間さん、ありがとう。後は俺一人で行くから、先に帰っていて下さい」 「はい。真琴様とお戻りになるのをお待ちしております。」 ありがとうと頷き返す。 本当に彼には世話になりっぱなしだ。 感謝してもしきれない。 去っていく車に頭を下げた。