しかし、こんな時に限って会えなかったりするわけで。
「出張に付いていくって…身体大丈夫なのかよ」
呆れたように呟いた。
電話して話すか?
…それもなんか変な話だ
そう思っていると電話が鳴り、ビクッとする。
「はい…」
『どういうことか説明しろ』
イラついた親父の声。
声からして真琴が出て行ったことを知っているようだ。
「説明って…」
『真琴さんが出て行ったのは聞いている。連れ戻しに行かないか!』
「行かない。」
今行ったら、真琴は余計に帰ってこないだろう。
俺が無理して連れ戻しに来たと思うに違いない。
『行かないだと!?なに寝ぼけたことを。…まさかお前、まだ春香のことを!?』



