「貴方は春香様を社長に取られて悔しかったんですよ。大切な物を横取りされて。」
可笑しそうに言う。
ってか春香はオモチャじゃないんだから。
そう思っていると、風間さんも言い方が悪かったと思ったのか言葉を変えてきた。
「春香様への気持ちが捨てきれないのは父親への反抗心からです。」
「反抗心…?」
「確かに貴方は春香様を好きだった。しかしそれはいつの間にか父親への反抗心、敵対心に変わったんです。悔しい、奪われたって。だから他の女性と付き合っても直ぐに別れるんですよ。」
ズケズケと物を言う秘書を唖然と見つめる。
次期後継者にここまでズケズケ言う人もそうはいない。しかし伊織は怒る気持ちなど微塵もなかった。むしろ気持ちが落ち着いてくる。



