俺だけの花嫁

思えば、彼はいつも父の傍らにいた。

真琴が来る少し前から俺の世話係りとなったが、幼い頃からの俺を良く知っているのも彼だ。



「貴方は…真琴様と出会って変わった。」

「変わった…？」

「えぇ。無表情ではなくなった。…今のその感情も真琴様が与えてくれたんです。」

「…こんなに苦しいなら…いらない」



風間さんはクスッと笑う


「春香様の時にはなかった感情ですよね？」

「え…」

「“悔しい”ではなく“苦しい”です。」



悔しい…ではなく？



「意味が…わからない」