俺だけの花嫁




―――――――――――――………………


あれからどれくらいこうして立っていただろう。

扉の向こうから風間さんに声をかけられてやっと身体が動いた。



「伊織様…?」



扉の真ん前に立っていた俺に目を見張る。

ぎこちなく顔を上げると風間さんのスーツからは外の匂いがした。



「…真琴様を実家へお送りしました。」



なる程。それで外の匂いか。



「風間さん……俺……」


呟くと、風間さんは俺の方をソッと押し、ベッドに座らせる。

風間さんは傍らで立っていた。

俺達に何があったのか察しているようで、その視線が痛い。