レストランを出て、海の側の公園を散歩しながら帰ろうと真琴を誘った。

そこは有名なデートスポットで皆、自分の世界に入っている。


ロマンチックなシチュエーションなのに、俺の心はざわついたままだ。

俺には真琴がいるのに…

ゆっくり振り返って、海を眺めている真琴を見つめる。



「真琴…?」

「何?」



明るく聞き返してくれる。



「伊織?どうかした?」
「…なぁ、真琴。抱きしめていい?」



突然のお願いに真琴は赤くなって驚いた。



「…えっ?な…、どうしたの!?急に。」

「ダメ…?」

「ダメ…じゃないけど…あの…」