“お似合いだよ”


肇のセリフが頭に残る。

俺は隣で数学の教科書とにらみ合っている真琴を見つめた。


俺の視線に気が付いた真琴は戸惑ったように、「そんなに見ないで」と身体を後ろへと軽く押す。
そんな抵抗が可愛くて意地悪したくなる。



「いいじゃん。」

「えっ、でも…そんなに見られたら集中出来ないし…」

「何で?見たいから見ただけ。何で集中出来ないの?」

「それ…は…」



困った顔をする。
俺はワザと耳元に顔を寄せて低く囁いた。



「ドキドキして意識でもしちゃった?」



ビクッと肩を震わせ、赤い顔して俺を睨み付ける


「伊織!?わざとやってるでしょう!?」