「伊織様。そろそろ一度お見合いをされないとまた社長に言われますよ」 帰りの迎えの車で風間さんが運転しながら控えめに言い出した。 「あ、そう」 先日、18歳になったというのに、誰ともお見合いをしようとしない俺に親父が怒っているのは知っている。 ささやかな抵抗。 しかしそれももう限界か…。 「…本日、奥様から国際電話がありました。」 風間さんのセリフに顔を上げる。