お願いだから、繋がってくれ。
祈る思いで、そっと通話ボタンを押す。
──プルルル
「繋がった!」
電波もないこの時代で携帯が繋がるなんて、現代にいるときなら有り得ないと直ぐに断言出来たけれど。
それでも電話は繋がった。
「・・・翼?」
向こうから確かにあずの声が聞こえる。
たった1日聞いていなかっただけなのにこんなに懐かしい。
「あず、今どこにいるの!?」
「新選組のところ・・・。」
新選組。
自分の頬が緩むのがわかった。
「あず、来月甲子太郎は新選組に加盟するんだ。」
新選組と甲子太郎。
決して遠くはないし、行こうと思えばいくらでも会いに行ける距離。
「会いたいよ、翼・・・。」
涙声であずが俺の名前を呼んだ。
鼓動が早くなるのは知らない振りをして静かに口を開く。
「早く帰ろう、現代に。」
あずはうん、うんと言ってくれた。
きっと辛い思いをしてるんだろう。
充電がなくなるから、と言って電話を切ってからぼーっとした時間がゆっくりと流れる。
会いたいよ、あずに。
あの、大好きな笑顔に。