聞きたかったその声。
「つ、ば…さ・・・?」
どうして携帯が繋がったのかは分からないけれど、確かに電話の向こうには翼がいる。
それだけで涙がこぼれそうになる。
「良かった、生きていてくれて…。」
そう呟いてくれた翼の声も少し濡れているように聞こえた。
気のせいだったのかもしれないけれど。
「翼もタイムスリップしたの…?」
私と一緒に光に堕ちたのだから、きっと翼もどこかに。
「……文久三年、1863年だよ…。」
その言葉に心のどこかでほっとしている自分がいる。
本当は、喜んではいけないことなのに。

