さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


聞きたかったその声。






「つ、ば…さ・・・?」




どうして携帯が繋がったのかは分からないけれど、確かに電話の向こうには翼がいる。




それだけで涙がこぼれそうになる。




「良かった、生きていてくれて…。」




そう呟いてくれた翼の声も少し濡れているように聞こえた。




気のせいだったのかもしれないけれど。





「翼もタイムスリップしたの…?」



私と一緒に光に堕ちたのだから、きっと翼もどこかに。




「……文久三年、1863年だよ…。」




その言葉に心のどこかでほっとしている自分がいる。




本当は、喜んではいけないことなのに。