「…何?」
沖田さんはくるりと方向を変えて私の前に座った。
「私、名前を呼ばれてここに来たんです前沖田さんにそっくりな声で、“あず”って。」
こんな事を言ったら困らせてしまうかもしれないけれど、聞かずにはいられなかった。
「私をここに呼んだのは沖田さんですか?」
今までの経過を考えると有り得ないってわかってる。
それでも、もしそうだと言ったら。
次第に視界が歪んできたけれど。それでも真っ直ぐ沖田さんを見つめた。
「帰りたい。ここに私を連れてきたのが沖田さんなら私を元の世界に帰してください…。」
どうかわかった、と頷いて。
至って冷静だと思っていた自分がこんなに取り乱している。
震えた声を張り上げて嗚咽を繰り返して。

