さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―

この声、以前聞いたような。




うーん、いつだったかな?




記憶を辿っていくと、お寺に辿りつく。




「あっ!」




思い出した。




壬生寺についてから、やけに聞こえたあの声。



強い光に包まれたとき、私の名を呼んでいた声に似ている。




なぜか心地よさを覚えたあの声。




どうしてあの時私を呼んだの?




もしかしてこの時代に私を連れてきたのも彼?




混乱してきた。




名前を呼ばれただけなのに。
 




「あず、どうしたの?」




呼ばれるたびに胸が高鳴る。




私、どうしちゃったの?




「大丈夫です・・・。」




あの声の主が沖田さんだと思うとドキドキが止まない。




沖田さんにも聞こえてしまいそうな気がする。




「とりあえず俺は行くね。何か聞きたいことがあったら俺に聞いて。」




沖田さんは襖に手をかけた。





「それじゃあね。」




「ま、待ってください!」




思わず呼び止めちゃった!




「あの、変なことを聞いてもいいですか?」