「…俺は薄々気づいていたんです。」
ぽつり、落ちる烝の言葉。
烝の仕事は諸士取調役兼監察方。
浪士たちの言動を監視すること。
そう考えるとさっきの言葉にも察しが付く。
一日の一部しか一緒に過ごしていない私たちには気づくことが出来なくても、ずっと見張りで張り付いていたのなら、この様子に気づいただろう。
と、言うことは?
「もしかして、さっきの町でのことも全部見ていたの?」
烝は申し訳なさそうに頷いた。
それが烝の仕事なのだから、責めることは出来ない。
「…絶対に露見するな。」
念を押すように、沖田さんが言い放つ。
「貴方がそう望むのなら…。」