さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



しなやかに歩く篠原くんの後に続いて、私たちは高台寺のなかを歩く。





外から見たときも思ったけれど、中から見ても凄く綺麗。





新しいとか、そういうものではないけれど。






「ここだよ。」





ぴしゃんと閉ざされた襖の前で、足を止める。





ここまで来てしまった。





翼に、会える。




一か月前だったら、喜んでこの取っ手に手を掛けただろう。





でも、今はどうしても躊躇ってしまう。





再び緊張が戻ってきて、引き返そうか、とも考えてしまう。





そんな私の背中を押すのは、彼。