私が彼の名前を呼ぶと、一瞬驚いたような顔をした。 どうして知っているの、というように。 「…まぁいいや。ついてきて。」 どこかしら機嫌が悪そうな篠原くんの後を追う。 一度、甲子太郎さんに頭を下げて。 「この人、どうしてこんなに機嫌が悪いの?」 私の耳元で沖田さんが囁く。 「ちょっと、色々あって…。」 思わず苦笑する。 多分、篠原くんは私に怒っている。 あの電話での一言。 嫌いってはっきり言われたし。