ついに、最後の段差を上って門の前に立つ。




隣にいる沖田さんは目が合うと微笑んでくれたから。





この選択は間違ってはいない、そう強く思った。






「沖田くんじゃないか。」





───ビク





突然降ってきた声に思わず目を見張る。






「甲子太郎さん、久しぶりです。」





甲子太郎。




この優しそうな人が。





想像していたよりもずっと若くて、そのたれ目は優しさを際立てていた。





「今日はどうしたんだね?」





「ちょっと人に会いに来たんです。」





「ほう。誰のことだ?」





「・・・翼くん、いますよね?」





沖田さんがサクサクと話を進めてくれるのをただじっと聞く。





翼に、会える。