さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



目の前に立ちはだかる山を指さす。





「樺色かな…。」




樺色、かばいろ。




燃え上がるような、樺色。





山は一面紅葉していて、眩しいくらいにその色を発色していた。




樺色は、まるで私の気持ちを表しているみたいに、恍惚な赤を揺らしている。





「・・・どうかしたの?」





優しい声が降ってくる。




同時に、胸が苦しくなって、息がしずらい。




帰るか悩んでいたことを、言うべき?




言わないべき?


  

2つの選択肢が、容赦なく私を悩ませる。




言っても、良いだろうか。







「・・・実は・・・」




ぽつり、言葉を落とした。





沖田さんなら、きっと正しい選択を教えてくれる。




そう思って。