「どうしたんだよ?」
なにがなんだか分からない。
なんで篠原が切れるんだ?
「翼、あんな女好きになるのなんて止めろよ。」
「あずはなんて言ったんだ?」
篠原はムスッと頬を膨らませた。
「“今は帰れない”って。」
“今は”
曖昧な返事に喜んでいいのか、悲しむべきなのかわからない。
今は無理だけど、帰る気はあるってこと?
それともただ俺に気を遣っただけ?
「俺は面倒くさいのとはっきりしてないのが一番嫌いなんだ。」
篠原はふんというように捨て吐いた。
確かにこの返事ははっきりしていない。
寧ろ俺にとっては事態をややこしくさせるような返事。
「置いて帰っちゃえば?」
「それは無理!」
あずを置いてなんか帰れるわけがない。
篠原はそんな俺を気に入らないように見てくる。
いや、篠原が気に入らないのはきっとあずだろう。
「まぁ、あずみが居れば翼もまだこの時代にいるんだろ?」

