「篠原、気配消すなよ、驚くから。」 篠原はごめん、という様に両手を顔の前にやった。 やっぱり、可愛い。 「それで翼の愛する人と連絡が取れるんでしょ?だったら、迷ってないでかければいい。」 「あのなぁ、簡単に言うけれど気まずい時だってあるだろ?」 正直今電話をかけるのは気まずい。 もし帰りたくないなんて言われたらどうする? そんなことばかりを考えてしまう。 明日かけよう、と毎日繰り返して10日以上が過ぎてしまった。 時間がたつにつれて発信ボタンを押すのが怖くなる。