さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―





「おい平助。俺ら土方さんに呼ばれてたんじゃなかったか?」






「あっ!」






2人は突然顔色を青くして、しまったとでもいうように口を手で覆った。






「じゃあな3人とも!」






二人は慌ただしく屯所の中に向かって走り去った。





「騒がしい奴らだ、まったく・・・。」





原田さんがふーっと溜め息混じりに呟く。




確かに、と思って私も頷く。





さっきまで刀を握っていたというのに、みんなのこの変わり身は凄い。





一晩寝ずに過ごしたわけだから、疲れもたまっているだろうに。





そう考えて、はっと気づく。





私も同じだってことに。





多分、無駄にはしゃごうとするのは赤を紛らわすため。





人を殺したという感覚を一瞬でもわすれようとするため。






みんな、心が痛んでいないはずなかった。




乗り切ったんだろう、と思っていたけれどそれは違う。





毎回、赤に染まる度に青を抱えて。




その度に、自分に催眠をかけて。