さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―

どのくらいの間泣き続けただろうか。






私の涙も底が尽きたようで、そっと沖田さんから離れた。





「ごめんなさい、汚しちゃったかもしれない…。」




水色のはっぴを袖で拭う。





…そうだ。





ポケットにしまったあれの存在を思い出した。





「沖田さん、これ原田さんと作ったんです。」




包みをそっと手渡す。





「これは…?」






「沖田さん今日誕生日って聞いたから。」





にっこりと、笑って見せる。




赤や黄色に輝くフルーツ飴を、沖田さんは不思議そうに見つめていた。





きっと初めて見る物だったんだろう。





沖田さんは紙くるまっているそれをそっと取り出して口に含んだ。





「すっごい美味しい。ありがとう、あず。」





今までで一番の笑顔。




目じりをいっぱいに下げて、笑ってくれた。






───ドキン






また心臓が大きくなる。





私、分かったかもしれない。




こんな時に?って思われるかもしれないけれど。





この気持ちがなんなのか。