「俺らは南門の護衛が任務のようだな。」





「わかりました。」




冷静に振舞っても、内心穏やかではなかった。




赤。




私の頭の中に巣くっていく。





辺りはたくさんの人が剣を握っている。





覚悟を、きめなければいけない。





「原田さん。」






「ん?」





「私逃げませんから。」





突然言葉を落とした私に原田さんは訳が分からないような顔をしたけれど、何も言わずに微笑んでくれた。






南門に着いてそれぞれが自分の持ち場に散らばった。





私は原田さんと一緒に行くことにした。





「気ぃ抜くなよ。」





「…はい。」





さっき原田さんに受け取った刀を据えていた腰から抜いて、周囲に緊張を張り巡らす。






「敵は長州藩だ。」






原田さんが言葉を発したと同時に一人の長州藩士が走りこんできた。





長州藩士たちはこの蛤御門の中に入りたがっているんだ。






「行くぞ!」





向かってきた敵は4人。





それに対して私達は2人しかいないから人数的には不利な状況だけど、どうしてか負ける気が全くしない。






「威嚇で済むのなら余計に手を出すな。相手がその気なら、斬ってもいい。」





私は再び赤に染まることになるだろうけれど、自分で選んだ道だから進むだけだ。






「中に通せ。」





近づいてきた長州藩士が眉間にしわを寄せたまま口を開いた。





「それはできません。」





私の今日の使命は、蛤御門の中に長州藩士を入れないこと。




ここに立ったからには私も忠堅に従うんだ。