芹沢さんは槍を構えた藩士たちに哄笑しながら進み出て来て、ゆっくりと口を開いた。





「ここを通せ。」





氷のように冷たい声。






会津藩兵が槍を突きつけると、芹沢さんは鉄扇でその槍先を悠々と煽いで笑った。






どうしてこの状況で笑っていられるんだろう。





その圧倒的なオーラに思わず生唾を飲んだ。





「と、通せません!」





圧倒的に藩士が圧されている。





「不審者のことを通すわけにはいかぬ!」





藩士は怯えながらも、強く言い返してきた。





それにしても不審者だなんて、この藩士のひとは壬生浪士のことを知らないのだろうか?





「おい、そいつらは壬生浪士組だ!早く通せ!」





会津藩士たちの背後から、軍奉行らしき人が駆けつけてきた。




藩士たちがしぶしぶと警備を離れると、芹沢さんはその間を悠々と通って行った。