低く枯れた声の方に振り向く。
「芹沢さん!それに、新見さんも!」
近藤さんが声を上げた。
芹沢さんと新見さんって、誰?
なんだか聞いたことがあるような気はするけど。
記憶を辿ってあの春の終わりの日を思い出した。
そうだ。
確か、八木邸に住んでいる局長の二人。
“前川邸の中ではあんまり好かれていないから、出来るだけ近づかないようにね。すぐに刀を抜きたがるから。”
沖田さんの言葉が同時に思い出される。
この人達が…。
芹沢さんらしき人はでっぷり太っていて、多分35歳くらい。
色白な肌に小さな目からは近所のおじさんを連想させた。
新見さんは芹沢さんとは対照的にひょろりとしている。
25歳を過ぎたくらいに見えるその容姿は、近藤さんと同じくらいに見えた。