走って、走って、走って。
どのくらい走っただろう。
中学の時の駅伝よりもずっと長く感じる。
蛤御門に着くまでの間、原田さんは他のみんなにばれないようにずっと手を握ってくれていた。
一度こんなことをしていいのだろうかと思って手に入れた力を抜いたけれど、原田さんはそれでも私の手を離さなかった。
罪悪感はあったけれど、もともと足は速くない方だったからリードはとても助かった。
ハァハァと膝に手をつき方で息をする私に、原田さんがぼそりと呟いた。
「…予想以上だな。」
原田さんの言葉に顔を上げると、そこには武装をした大勢の人が押し寄せていた。
思わず言葉を失う。
もっと穏やかなものを想像していたから、この現状を理解するのには時間がかかった。
絶えず誰かの叫び声や怒鳴り声が聞こえてきて、あの日がフラッシュバックしてくる。
赤を知ったあの日を。
「行けるか?」
足がすくんでいた私に優しく声を掛けてくれたのは、原田さんだった。
正直、怖い。
けど…。
「大丈夫です。」
ここまで来て退くことはできない。
一歩前に足を踏み出した。

