さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



完成した飴を片手に廊下を歩く。





「原田さん、女の人には贈り物したことある?」






「…ねぇよ!」





そうだと思った、と言おうとしたのをぐっと堪える。




それにしても、今日はやけに隊士さんが集まっている。






いつもはがらんとしている庭には、15人近くの隊士さんがなにやら話し合っていた。






「何か屯所内の様子がおかしくないですか?」






ざわざわとあちらこちらから隊士さんたちが外へ出ていく。





今までこんなことは一度もなかったのに。





「ちょっと待ってろ。」






そういうと原田さんは一人の隊士さんの元へ行って、何か話をしてまた戻って来た。






どこか深刻そうな表情。




どうしたんだろう。






不安が募っていく。





また京で辻斬りでもあったんだろうか?





ううん、それだけでこんなに大人数が集まるはずはない。








「…出動命令が出たようだ。俺は今から蛤御門(はまぐりごもん)に向かう。」