完成した飴を片手に廊下を歩く。
「原田さん、女の人には贈り物したことある?」
「…ねぇよ!」
そうだと思った、と言おうとしたのをぐっと堪える。
それにしても、今日はやけに隊士さんが集まっている。
いつもはがらんとしている庭には、15人近くの隊士さんがなにやら話し合っていた。
「何か屯所内の様子がおかしくないですか?」
ざわざわとあちらこちらから隊士さんたちが外へ出ていく。
今までこんなことは一度もなかったのに。
「ちょっと待ってろ。」
そういうと原田さんは一人の隊士さんの元へ行って、何か話をしてまた戻って来た。
どこか深刻そうな表情。
どうしたんだろう。
不安が募っていく。
また京で辻斬りでもあったんだろうか?
ううん、それだけでこんなに大人数が集まるはずはない。
「…出動命令が出たようだ。俺は今から蛤御門(はまぐりごもん)に向かう。」

