さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「キミはあくまで不審人物なんだよ?そう簡単に放すわけにはいかないだろう?」




小柄な人が呆れた様に言い捨てる。




そんな…。




「総司、それは言いすぎだ。歳も刀を離せ。」




近藤さんが優しくフォローしてくれる。




この人は見るからに優しそうな可愛いおじさんだけど、中身も優しい。




この人がいる限り殺されることはなさそう、と思ってほっと息をつく。




もう二人の人も、近藤さんには言い返せないようだった。




たしか、小柄な方の人は沖田さんと呼ばれていた。



背はそれ程高くないけど、真っ白な肌につり目でもたれ目でもない漆黒の瞳。




横一文字に噤んだ形のいい唇。




とても整った顔立ちをしている。




後ろで結んだ少し茶色がかった髪は、は私も憧れてしまうくらいサラサラになびいている。




簡単にいうと、綺麗な人。




男の人を初めて綺麗だと思った。