その日はもう夜も更けていたし、剣士さんたちを起こして話申し訳ないなと思って大人しく床に就くことにした。





なんだか目がさえてしまって眠れない。




「明日からどんな顔して原田さんに会えばいいんだろう。」



原田さんの体つきがぽんと頭に浮かんできて、深く布団をかぶった。




こんなこと考えてたら私変態みたいじゃない!




「おい、ちょっといいか?」




―――ビク




突然襖の向こうから声が聞こえたから思わず強張ってしまった。



「さっきは嫌な思いさせてごめんな?」




その言葉から声の主が誰なのか一瞬で分かった。




「原田さんが悪いわけじゃないよ。」



あんなことの後なだけに声だけでも緊張する。




「ありがとな。永倉さんと平助のことは俺が斬っとくから、心配すんな。」




「そこ、心配じゃすまないでしょ!」




「一度斬られただけじゃ大丈夫だぜ?そこで死なれたら…まぁ、俺もそこまでだな。」




「それ笑い事じゃありませんよ?」



「冗談だよ!」




二人でははっと笑った声が静まり返った濃紺に響く。



なんだ、普通に喋れた。




「それじゃ、おやすみ。」




「…おやすみなさい。」



言葉を交わして少しすると足音が遠ざかっていくのが聞こえた。



今度はすうっと眠りに落ちることができた。