さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


「へくしっ!」




脱衣所の方から原田さんのくしゃみが聞こえてきた。




寒いのかな?



夏の夜は一段と冷え込むし、日中に温度がかなり上がるから体感温度は現在の温度より低いんだろう。




私は上がれないけれど、原田さんが浴槽に入ることは出来るんだよね。




この浴槽は二人で入るにしても十分すぎる広さはある。




「原田さーん…。」




意を決して小声で原田さんを呼んだ。



ごくり。




「風邪ひくと悪いし…。は、入ってもいいですよ?」




私の言葉が終わると同時にがらりと再び戸が開いた。




「さみぃ!さみぃ!」



バシャーン



「きゃっ!」



原田さんが浴槽に飛び込んでくるもんだから、私は思い切り水を浴びてしまった。




「原田さん!」



ムスッとして原田さんを見ると不覚にも見とれてしまった。