さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



そうだ。




翼は?




翼がいない。




一緒に光に堕ちたはずなのに。




「あの、男の子見ませんでしたか!?」




「男?」




近藤さんはうーん、と腕を組んで悩んでいたけれど、そこから顔が上がることはなかった。




その様子から、見ていないことを察することができた。




翼、どこに行ったんだろう。




現代に残っているとか?




そうだったらいい。




でも、もし別の時代にいたら?




考えただけで苦しくなる。




翼は私を追って来てくれたのだから、辛い思いをさせたくない。




その裏腹、この時代にいてくれたらいいって思う自分が醜い。