“沖田さん”  





あずが親しげに男の名を呼んだ声が、未だ頭の中をこだましている。
  




あれは多分、沖田 総司。 





女みたいな童顔で美人顔だった。





それでいてきっと剣の腕もたつんだろう。





いくら剣道経験者だと言っても、あの男とはお話にならないだろう。





「はあ…。」
   




とてもかなわないな、と思ったら、またため息が出てきた。





少なくともあの時は俺じゃなく、あずはアイツを選んでいた。




しかも別れ際のあの顔。




私は沖田さんを選んだからごめんなさい、とでもいうような哀れな俺を見つめる同情の目。
   




「はああ…。」







「うるさーーーーい!!!」